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第22回 日本獣医皮膚科学会 学術大会-皮膚免疫-

19年03月10日

3月10日、東京都の両国で行われた「第22回 日本獣医皮膚科学会 学術大会」に参加させていただきました。たくさんの講演を通して非常に多くの知識を得る素晴らしい機会となりました。

アトピー性皮膚炎や、アレルギー性皮膚炎と診断された患者さんに対して、いつもお伝えする言葉があります。それは、「生涯お付き合いしていく病気だ」ということです。つまり、治療の目的は「痒みのコントロール」になります。しかし、それらの疾患を根本的に治療する方法は存在します。それは、アレルゲン特異的免疫療法(ASIT)と言います。ASITは、昔から用いられてきた犬や猫におけるアレルギー疾患の治療法のひとつです。現在広く用いられているアポキルやアトピカといった薬剤に対して、根底的なアレルギーを天然のものによって治療し、アレルギー自体を退行させることができる唯一の方法とされています。

犬におけるASITには、皮下免疫療法(SCIT)と舌下免疫療法(SLIT)の2つが存在します。それほど多く研究されているわけではないのですが、これら2つはほぼ同様の効果を有するという可能性が示唆されています。

SCITとは、アレルゲン濃度を漸増させた抽出液を、治療開始時には頻回に、維持期には低頻度で皮下に注射するという方法をとります。対してSLITは、注射ではなく舌下や口腔内に、抽出物を直接投与します。それぞれに利点、欠点がありますが、飼い主様の生活スタイルによって選択することができます。例えば、SLITの大きな利点のひとつが投薬の簡便さだと言われています。多くの犬は舌下剤をおやつと見なすため、投薬はスムーズに行える場合がほとんどです。しかし、1日2回確実に投与する必要があるため、仕事で忙しい人や生活リズムが不規則な人は、低頻度で注射を行うSCITの方が楽だと感じるかもしれません。また、稀にSCITでアナフィラキシーショックを起こすことがありますが、SLITは注射でアレルギーを起こしたことがある個体にも使用できるとされています。そして、ASITの最大の欠点はというと、効果が出るまでに時間・費用がかかる上、必ずこの治療が奏功するとは限らないということです。ただし、これらの治療法は、現存する新しい治療法と併用することができます。ASITによる効果が得られるまでの間、併用薬で症状を緩和させることができると考えられます。

このように、アレルギー性皮膚炎の治療には選択肢が複数あります。犬の性格、飼い主さまの生活スタイルなどを考慮し、ご家庭に合った治療法を提案できるよう、日々精進してまいります。S.K

に参加させていただきました。たくさんの講演を通して非常に多くの知識を得る素晴らしい機会となりました。

アトピー性皮膚炎や、アレルギー性皮膚炎と診断された患者さんに対して、いつもお伝えする言葉があります。それは、「生涯お付き合いしていく病気だ」ということです。つまり、治療の目的は「痒みのコントロール」になります。しかし、それらの疾患を根本的に治療する方法は存在します。それは、アレルゲン特異的免疫療法(ASIT)と言います。ASITは、昔から用いられてきた犬や猫におけるアレルギー疾患の治療法のひとつです。現在広く用いられているアポキルやアトピカといった薬剤に対して、根底的なアレルギーを天然のものによって治療し、アレルギー自体を退行させることができる唯一の方法とされています。

犬におけるASITには、皮下免疫療法(SCIT)と舌下免疫療法(SLIT)の2つが存在します。それほど多く研究されているわけではないのですが、これら2つはほぼ同様の効果を有するという可能性が示唆されています。

SCITとは、アレルゲン濃度を漸増させた抽出液を、治療開始時には頻回に、維持期には低頻度で皮下に注射するという方法をとります。対してSLITは、注射ではなく舌下や口腔内に、抽出物を直接投与します。それぞれに利点、欠点がありますが、飼い主様の生活スタイルによって選択することができます。例えば、SLITの大きな利点のひとつが投薬の簡便さだと言われています。多くの犬は舌下剤をおやつと見なすため、投薬はスムーズに行える場合がほとんどです。しかし、1日2回確実に投与する必要があるため、仕事で忙しい人や生活リズムが不規則な人は、低頻度で注射を行うSCITの方が楽だと感じるかもしれません。また、稀にSCITでアナフィラキシーショックを起こすことがありますが、SLITは注射でアレルギーを起こしたことがある個体にも使用できるとされています。そして、ASITの最大の欠点はというと、効果が出るまでに時間・費用がかかる上、必ずこの治療が奏功するとは限らないということです。ただし、これらの治療法は、現存する新しい治療法と併用することができます。ASITによる効果が得られるまでの間、併用薬で症状を緩和させることができると考えられます。

このように、アレルギー性皮膚炎の治療には選択肢が複数あります。犬の性格、飼い主さまの生活スタイルなどを考慮し、ご家庭に合った治療法を提案できるよう、日々精進してまいります。S.K