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3月30日 葉月会 腫瘍学セミナー

カテゴリー:セミナー

19年03月30日

肛門嚢アポクリン腺癌の治療

酪農学園大学  廉澤 剛先生

犬の肛門周囲の腫瘍には肛門周囲腺の腫瘍と肛門嚢の腫瘍との2つあります。その中でも肛門嚢腺癌は高カルシウム血症を引き起こす代表的な腫瘍の1つで、リンパ節や肺への転移を起こす悪性の腫瘍です。基本的には完治は難しい腫瘍ではありますが、リンパ節転移による高カルシウム血症や排便困難の改善のため、原発巣およびリンパ節の摘出が推奨されています。今回は肛門周囲腺癌の摘出に関して解剖から手術の方法について病理組織結果に則って、以前と比較して現在の手術法について動画を用いて詳しく説明していただきました。

また、肛門周囲腺癌に対する抗がん剤治療の効果についても最近の実績に基づいた結果からその有用性についてお話していただきました。以前は高カルシウム血症に対する処置が主でしたが、腫瘍自体の縮小効果も期待されるようになっており、放射線以外の選択肢の1つとして挙げられていました。

肛門周囲腺癌は触知できる位置にありますが、症状としては進行するまでは劇的なものではないため、日々の身体検査により初期の病態を見逃さないようにし、しっかり治療していこうと思います。

S.A