南が丘動物通信

失敗しないシャンプーケア 23年05月05日

日に日に暑さも増し、"皮膚病"を抱えたワンちゃんの来院が増えたように感じます。今回は犬のスキンケアに重要なシャンプー選びについてお話ししたいと思います。

スキンケアには皮膚・被毛の汚れを落とす「洗浄」、皮膚の水分保持力を高める「保湿」、様々な刺激から皮膚を守る「保護」などさまざま目的があります。シャンプーは皮膚・被毛の汚れや皮脂を落とす方法として汎用されており、皮膚の健康を保つため、皮膚病に対する治療のために重要な方法です。しかし間違ったシャンプーは皮膚バリア機能に障害を与えるリスクがあることを理解しておく必要があります。多種多様な犬種の皮膚特性や皮膚の状態に合わせたシャンプー剤を選ぶことが重要です。

シャンプー剤は、界面活性剤、保湿剤や薬用成分などの有効成分がそれぞれの製品により配合されています。これら成分の中でシャンプーの特性を決めるのは、主成分である「界面活性剤」であり、主に以下の3つの系統に分類されます。

1. 高級アルコール系→洗浄力は強いが、刺激性も強い

2. 石鹸系→洗浄力、刺激性ともに中程度

3. アミノ酸系→洗浄力は弱いが、皮膚に優しい

アトピー性皮膚炎のような皮膚バリアの低下がみられる敏感肌をシャンプーする場合には、低刺激性のアミノ酸系を選び、痒みの酷い時期は週1回以上のシャンプーが推奨されています。一方、脂漏症(しろうしょう)のワンちゃんでは、皮脂が過剰に分泌されベタベタの皮膚となっているため、皮脂やフケを除去するために洗浄力の高い高級アルコール系の使用が推奨されます。シャンプーの頻度は脂漏の程度にもよりますが週1〜2回程度からはじめます。

以上の例のように皮膚病の治療を目的としたシャンプー療法を適切に行うと、治療期間の短縮や使うお薬の種類・量を少なくできる可能性もあります。愛犬のシャンプー選びに疑問がありましたら、獣医師まで気軽にご相談いただければと思います。

また近年の研究では、保湿成分を配合しないシャンプーで洗浄した後に経表皮水分蒸散量(=皮膚から逃げていく水分量)は上昇し、洗浄後3日経過しても洗浄前の状態に戻っていなかったという報告があります。このことからセラミドやヒアルロン酸などの保湿剤を配合したシャンプー剤を選ぶ、もしくはシャンプー後に保湿処置をセットで行うことをオススメします。シャンプーを正しく行い、暑い夏を乗り切りましょう。

D.N.