南が丘動物通信

運動障害(不随意運動)から見た異常な行動について 23年02月05日

 不随意運動とは、自分の意志で制御ができる運動器に認められる様々な動きの総称であり、ヒト分野有名なものはパーキンソン病があげられる。この疾患は大脳皮質、基底核、小脳などのおおまかな動きから、細かい動きを制御する箇所での関与が認められており、治療薬などがあるが、動物ではそのほとんどが解明されていない。今回は動物で見られる不随意運動の中の一部を紹介します。

①キャバリアの発作性転倒:主に四肢の硬直を示して、そのまま起立困難になります。その見た目から"deer stalking"と形容されます。発作と勘違いされがちですが、症状は運動やストレスがかかった状況がトリガーとなり発生し、この間意識レベルは正常です。この点が発作との鑑別点になります。発症年齢は3~7か月齢で一般的にトリガーとなる状況を避けることで抑えることが出来、度合いによりますが治療は必要無いです。

②ドーベルマンの舞踏病:ドーベルマンに認められる、立つときに足踏みするように交互に足を屈曲-挙上する動きをする疾患です。患肢のニューロパチーやミオパチーが原因と言われています。

③特発性頭部振戦(head bobbing):発作性転倒と同様に、運動やストレスなどがトリガーとなって発症する頭部の震えで、その特徴は張り子の虎のように頭部がリズミカルにブルブルと震えると言う点です。同様に発症中の意識レベルは正常で、飼い主とも目を合わせることが出来たり、歩いたりもします。多くは2歳未満のボクサーやフレンチブルドッグ、ドーベルマンなどで認められます。一般的に治療は必要なく、発症したら安静にしてストレスをとりのぞくことで治まります。どうしても止まらない、コントロールが不良の場合はレベチラセタムを使用します。

④高齢犬のよる振戦:高齢の日本犬やテリア系の犬種では起立時において、後ろ足がプルプル震えるというのが特徴であります。座っているときや、寝ているとき症状は出ません。

具体的なメカニズムは分かっておらず、放っておいても何ら問題はありません。

他にも、ジストニアやミオクローヌスなど様々な運動障害が存在する。運動障害の診断には、具体的な症状の前後の様子、トリガー因子はないか?症状が出ている部位を確認したり、MRIにおいての形態学的な異常や脳波の異常を確認して、発作との違いを確認することが大事になってきます。発作かな?それともこの不随意運動?と思ったら、来院の際に動画を持参頂くと診断に早く行き着くかもしれません。

RI