南が丘動物通信

仔犬の出血症候群 22年09月13日

生後4週齢未満の仔犬にまれに元気消失・内出血・血尿がみられることがあります。

これは血液凝固異常によっておこり、原因には遺伝的な出血性素因・血小板減少症・ビタミンKの不足などがあげられ、場合によっては命を落とす可能性があります。

出血性素因とはフォンビルブランド病といった血液凝固因子の異常や減少を引き起こす遺伝疾患などがあり、血小板減少症は遺伝、免疫介在性、感染性、DICなど多くの原因で起こります。

ビタミンKは人医療においては乳児に補充することが提案されています。ビタミンKは止血機能を活性化するのに重要な役割を担っています。しかし胎盤通過性や乳汁中の含有量はあまり多くありません。また乳児は腸内細菌のバランスが成人とは異なり、腸内細菌によるビタミンK新生も多くありません。元気に生まれて母乳をしっかり飲んでいたからと言って必ずしも十分であるとは言えず、出血症候群を防ぐために補充するようです。同様の理由でワンちゃんにおいてもビタミンKの不足が起こる可能性が議論されており、実際ビタミンKの補充により元気を取り戻す仔たちがいます。おかしいと感じたときには早急にご相談いただきたいと思います。K.Y