南が丘動物通信

猫の肥大型心筋症による血栓症の手術 21年11月13日

猫は16%が肥大型心筋症に罹患するという報告があります。特にメインクーン、ラグドール、ブリティッシュショートヘアー、アメリカンショートヘアー、ペルシャで起こりやすいと言われています。心筋が厚くなり進行すると、左心室が狭小化しうっ血性心不全の病態を示します。聴診ではわからないことも多い病気です。また、この病気は動脈血栓症を起こすことでも有名です。血栓症の典型的な症状はいきなり後肢の麻痺をおこし歩けなくなってしまいます。多くの猫ちゃんでは大きな声で鳴き続けることが特徴にあげられます。今回の猫ちゃんは連れてきていただいた段階で後躯麻痺と軽度の肺水腫を起こしておりました。エコーとCTで動脈の後肢に分枝する部分(鞍状部)に血栓が認められたため緊急手術にて摘出いたしました。すぐに肺水腫も落ち着き、まだ完全ではありませんが後肢も動くようになり無事退院いたしました。心臓内に血栓を認めない鞍状部血栓症の場合、摘出することにより良い経過をとることが多いです。後肢が動かなくなり大きな声で鳴きはじめたらすぐに診察していただくことをお勧めいたします。飼い主様のご厚意により猫ちゃんと血栓を掲載させていただきました。

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