南が丘動物通信

褥瘡について 21年09月02日

ワンちゃんは高齢、腫瘍、起立困難となるような神経疾患、その他全身性疾患が原因で起立不能になると、人と同様体表に褥瘡(いわゆる床ずれ)が生じることがあります。一般的に、褥瘡は寝たきりによって、持続的に体表の一部に体重がかかることによって骨と皮膚ひぃ表層の軟部組織への血行障害が生じ、皮膚が変色、損傷し、場合によっては筋肉や骨組織にまで達する事もあります。出来やすい部位は肩、腰(後肢あたりの骨が出っぱているところ)です。褥瘡は、感染とそれに伴う滲出液、そして疼痛を伴う為、動物達のQOLを著しく下げてしまう疾患ですので、もし動物たちが寝たきりになった場合は、褥瘡も気をつけながら管理していく必要があります。

現在の獣医学領域では褥瘡の予防方法や治療方法が明確に確立されているわけではないが、その部位での感染のコントロール、患部をなるべく湿潤に保つ、体圧分散が基本となります。感染のコントロールについては抗生剤を使用し、患部を湿潤に保つためには、ドレッシング剤を貼付、その他軟膏を塗布する場合もあります。自宅での管理がメインになるので、最も重要なのは、"体圧分散"になります。この場合、褥瘡部位に圧力がかからないように、ドーナツ状のクッションを引いたり、低反発マットレスを引くことで圧力が全身に分散させて負重を軽減するようにします。ただし、圧の調節だけでなく通気性や摩擦力も因子として関わってくる為個体によって最適条件を考慮しながら見ていく必要があります。ある報告では、体重が重い個体において低反発マットレスでも圧のコントロールがうまくいかなかったので、エアマットレスを使用すると良くなったとあります。エアマットレスは内部が空気なので、底つきを起こさないので、体重が重いワンちゃんに関してはエアマットレスを考慮すべきだと考えられます。逆にドーナツ状のクッションは穴のあいた部位の体圧は軽減されるが、周辺部への圧負荷が大きくなるので使用は慎重に検討すべきとかんがえられます。

このように褥瘡はそのグレード、部位、個体によって対応を考慮する必要があるので、

まずは動物病院を受診し、相談した上で管理していくことをオススメします。

RI