南が丘動物通信

薬の飲み合わせ 21年06月20日

薬の飲み合わせに関しては人の医療に関しても注意すべきですが、犬・猫に関しても同じことが言えます。今回はクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)において使用されるトリロスタンと腎臓病で使用される薬の飲み合わせに関するお話です。現時点でクッシング症候群の治療をしているワンちゃんも多いのではないかと思いますが、その子たちの多くが飲んでいる内服薬がトリロスタンと呼ばれる薬です。この薬は副腎皮質で行われているホルモン合成を抑制することで副腎皮質機能亢進症の症状を和らげる効果があります。

また、腎臓病のワンちゃん、ねこちゃんに対して使用される薬で、特にタンパク尿の治療に使用される薬の代表的なものにRAS阻害薬があります。この薬は腎臓から尿中に漏れでるタンパク量の減少を狙って使用されますが、この効果は血圧や腎臓への血流量を低下させることによって得られます。ここで問題になってくるのは副腎皮質で合成される、いくつかのホルモンのうちの一つが血圧をあげる作用を担っている点にあります。クッシング症候群の治療をトリロスタンでおこなうと、血圧をあげるホルモンの合成を阻害、すなわち、血圧を下げることになります。ここで、血圧・腎臓の血流を阻害する薬を併用してしまうと相乗効果により過度な血圧低下、腎臓の血流量が減少しすぎてしまい腎臓にダメージを与えてしまう可能性がでてきます。クッシング症候群にかんしても腎不全に関してもご家族とワンちゃん、ネコちゃんが生涯にわたって付き合っていく病気になります。少しでもご不明点がある場合はご相談ください。

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K・G