南が丘動物通信

犬、猫のくしゃみが最近気になる方 21年03月04日

 ヒトと同様、ワンちゃんやネコちゃんもくしゃみをすることがあります。普段の診察でも、くしゃみをたまにする、最近くしゃみの回数が多い、花粉症ですか??鼻血がでたなどの相談を受けることが多々あります。もちろん、人間でよく見られるようなアレルギー性の鼻炎も可能性としてありますが、そのほかにも考えなくてはいけない疾患が隠れている可能性があります。

原因を列挙すると、以下のようになります。

○先天性(短頭種機動症候群で見られます)

○感染症(ウイルス、細菌、真菌)

○腫瘍性疾患、炎症性ポリープ、アレルギー性疾患、歯牙疾患、鼻腔内異物、外傷、止血異常などの基礎疾患を持つ場合。

おそらく、皆さん自身がくしゃみをした時や、くしゃみが続く時には、上述したような内容を考えないと思います。ですが、ワンちゃん、ネコちゃんではくしゃみが続くようであれば、このようなことも考えていかないといけないケースが多いです。

感染症については、若齢のネコちゃんが特に多いかなという印象があります。ウイルス感染ではネコヘルペスウイルスや、カリシウイルスが絡んでいることが多く、適切な治療をしてあげる必要があります。もちろんアレルギーでもくしゃみが続くようなこともあるので一度診察に連れてきてもらって精査をされることをお勧めします。

 えっ、と思われた方もいるかもしれないですが、鼻の中に腫瘍がある場合や重度に進行した歯周病でもくしゃみや鼻血を出すことがあります。これは高齢になってくしゃみが始まった子で多いです。腫瘍なら顔の骨にどんどん浸潤していき、骨を溶かしてしまって痛みも感じています。歯周病が進行すると、鼻腔内と口腔内に瘻管を作ってしまう"後鼻腔瘻"になってしまい、放置すると慢性鼻炎や副鼻腔炎、場合によっては肺炎になってしまうこともあります。これらは、全身麻酔下でC T撮影したり、歯科用レントゲンをとることで診断ができます。"止血異常"は鼻の中そのものに問題があるというよりも、身体の中の血を止める因子の欠乏(血小板減少、凝固因子の異常、肝不全、甲状腺機能低下症など)のサインかもしれません。

以上のように一口にくしゃみ、鼻出血と言っても原因となる疾患は様々でかつ容易なものでないものも多くあります。くしゃみくらいで病院に行くのも、、、と思われてい躊躇っている方は一度受信されることをお勧めします。

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