南が丘動物通信

猫にアロマセラピーは要注意!? シトラスオイル中毒って知っていますか? 20年10月10日

冬になり加湿が必要な時期になってきましたね。加湿器にアロマオイルをいれていい匂いを楽しんでいる方も多いと思います。

ただお家で猫を飼っていらっしゃる方には知っておいてほしい猫ちゃんの中毒があります。

それはシトラスオイル中毒です。 シトラスオイルとはみかんやオレンジなど柑橘系の植物から作られるオイルで、その匂いからアロマオイルや芳香剤、食器用洗剤やシャンプーに使われており、動物用の虫除けにも含まれていることもあります。特にアロマオイルは成分が濃縮されているので注意が必要です。シトラスオイルは植物由来で、天然成分として知られているので動物に対しても安全性が高いと誤認されています。中毒の原因は柑橘類の皮に含まれるリモネンリナロールです。

猫はシトラスオイルに対する感受性が犬よりも高いことがわかっています。シトラスオイルは親油性なので、経皮的、経口的に速やかに吸収されます。d-リモネンは皮膚に付着するとたった10分で最高血中濃度に達し、シトラスオイルが含まれたシャンプー剤などを直接塗布した場合に、重度の皮膚炎をおこした症例がいくつも報告されています。

シトラスオイル中毒の臨床兆候としては、身体に付着したものを舐めることにより味覚が刺激され大量に流涎したり、運動失調、筋肉の震えが知られており、ほかに中程度から重度の低体温が生じることがあり、そのほか虚弱、活動性の変化(攻撃的になる)、鳴き声を発する、麻痺、散瞳などが起こるとされています。

皮膚に付いた場合、直後であれば食器用洗剤で皮膚を洗うことで除染します。低体温が生じるため、体温調節が重要になってきます。そのほか、臨床症状に応じた対症療法が必要で、重度の皮膚徴候が生じた場合は、抗菌薬、輸液、創傷治療などの積極的な治療が必要となります。早期に治療してあげると予後は良好です。

もちろんシトラスオイルだけではなく、アロマオイルに含まれるフェノール類やケトン類といった香りの成分に猫は敏感です。

アロマなどを炊いていて急に猫ちゃんが大量にヨダレを垂らして具合を悪そうにしているなら、食器用洗剤や猫用のシャンプーで毛に付いたオイルを落として様子次第ではすぐに近くの動物病院に相談しましょう。

人に使えるから、犬に使えるからといってあまりよく調べずに猫につかってしまうと危険なものも多いので注意しましょうね。

Y.N  

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