南が丘動物通信

猫の甲状腺機能亢進症における内科療法の副作用、対処法. 20年07月03日

猫の甲状腺機能亢進症の治療に内科療法が一般的に行われております。メルカゾール5㎎錠(チアマゾール)が主に使用されています。処方してもらった薬の副作用のためお電話やご相談にこられるかたがたくさんおられます。英国の開業獣医師に対する副作用の経験報告では嘔吐(69.0%)、食欲不振(47.0%) 顔面掻痒(44.8%)高窒素血症(22.7%)貧血(11.8%)白血球減少(10.9%)肝障害(9.6%)好中球減少(8.4%)血小板減少(8.4%)リンパ節腫大(4.7%)突然死(0.9%)となっています。カッコ内は副作用がみられた回答者の割合になります。甲状腺機能亢進症の猫の長期管理において3.6.10.20週あとは3か月ごとまたは3.5.8週あとは3か月ごとのT4と全血球計算、肝機能、腎機能の血液検査が最低限必要と考えられます。副作用は8週目までにおこりやすく、出てくる確率は文献によって様々ですが約1/4の確率で起こってくると考えています。投与量は体重、年齢、T4の値などによって変えていますが当院では、はじめは1/6錠から1/4錠1日1回~2回で処方し足りなければ徐々にあげていくよう副作用がでたら用量コントロールをするようにしております。処方食y/dをたべさせていただくこともございます。転院されてきた症状を列記いたしますと徐脈、ショック状態、肝炎、黄疸、顔面掻痒、食欲不振があります。もし副作用かなと思われましたら必ず早めにかかりつけの先生にご相談になってください。最終的には内科療法が困難な場合手術を検討してあげてください。内服できないから様子をみることはお勧めできません。当院では猫の甲状腺機能亢進症の9割の症例に手術を行いすべて良い経過をとっております。副作用のため薬を内服させることが難しい症例、高血圧がコントロールできずに網膜異常で失明した症例の甲状腺手術もおおくおこなっています。手術症例の平均年齢が13歳、最高齢は26歳です。毎月手術を行っています。臨床獣医師専門雑誌CAP7月号において猫の甲状腺期の機能亢進症の治療∼外科手術の適応と手技~を執筆いたしました。ご相談ください。

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