南が丘動物通信

SUBシステムの洗浄処置 19年09月10日

 当院では尿管結石の症例に対してSUBシステムという器具を用いた手術を実施しております。小動物の尿管はとても細いために、切開・縫合手術をしても再閉塞の可能性が高いため、腎臓と膀胱にカテーテルを挿入し、それをつなぐことで尿管を迂回するというバイパス手術となります。

カテーテルを入れても、カテーテルの内側に微小な結晶や結石が張りつくことで再閉塞してしまうというリスクを抱えることになるのですが、このシステムの最も大きい利点は、術後の再閉塞を防ぐための洗浄処置ができる点にあります。お腹の皮膚の下に埋め込んだポートに特殊な針を刺し、そこから生理食塩水を使ってカテーテルを洗うことができます。またこの処置を同時に腎臓をエコーで観察することでカテーテルが通過性を有しているかを確認することもできます。ちゃんとカテーテルが機能していると、洗浄と同時に腎臓の腎盂というところがペコペコ動いたり、生理食塩水の中の泡が腎盂の中で確認することができます。これが確認できるときは安堵の瞬間です。そしてさらに、細菌を排除したり結晶や結石が張りつきにくくなるための専用の薬剤を最後にカテーテルの中に注入します。単に洗浄するだけでなく、この薬剤が再閉塞を予防してくれるという役割を果たしてくれるため、安心感がさらに増します。

 SUBシステムはまだ完全な装置ではないと開発者も言っておられましたが、それにしても本当によく考えられた素晴らしい装置・手術だと思います。いまはこの洗浄処置は3カ月に1回を目安におすすめしています。せっかく頑張って手術していただいたので、この洗浄を継続して装置を少しでも長く維持していただきたいと思っております。

T.S.

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