南が丘動物通信

心臓の検査~心電図検査~ 19年05月10日

 心臓機能を知るために様々な検査がありますが、不整脈の診断にもっとも有用なのが心電図検査です。心電図は心筋内を走る刺激伝導系の流れを検出するもので、それにより心臓の大きさや異常な電気信号の有無(=不整脈)を知ることができます。聴診でもある程度は不整脈を検出することはできますが、やはり確定診断や治療につなげるためには心電図検査が必須になります。

 人の健康診断でも汎用されているように心電図検査は動物に大きな負担なく検査できるのもメリットのひとつです。動物の場合は肢誘導が一般的で、4本の電極を四肢に取り付けるだけで検査可能です。少しの時間はじっとしている必要があり震えたり動いてしまう子は基線がぶれて難しいこともありますが、電極につなぐクリップに痛みもないことから多くの子は検査が可能です。

 動物でも不整脈ではふらつきや失神などの症状が出て、ときに致死的となります。リスクある不整脈では抗不整脈薬が必要になります。小型犬に多い僧帽弁閉鎖不全症、猫に多い肥大型心筋症に伴って不整脈が現れることも多く、ふだんそれらの疾患で通院されている子たちでも定期的な心電図検査が推奨されます。

 また手術の際のリスクの評価にも欠かせない検査になっています。麻酔をかけてから不整脈があることに気づいても時すでに遅しの可能性もあるため、手術前検査にて心電図検査を実施し安全な麻酔・手術ができるように心がけています。

 聴診にはじまり、レントゲン、心電図検査、心エコー検査など心臓機能を評価する検査はそれぞれの独自の役割を果たしているとともにいずれも必要不可欠なものです。動物は自覚症状を言ってくれないだけに症状が出たときには進行しているものがほとんどです。やはり予防医学の観点からみても、大切な家族に受けさせてあげたい検査のひとつだと考えています。

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T.S.