南が丘動物通信

老犬を寝たきりにしないために 19年04月10日

犬猫も人同様、高齢になっても若々しい子と、そこまで高齢ではないのにも関わらず、体力がなく見た目も「お年寄り」という子がいます。違いが出る理由は様々ですが、やはり、適切な栄養を取り、適切な運動を行っていることは重要になってきます。

高齢になってくると身体機能に多くの変化が現れるようになり、老犬では約80%が後ろ足から弱ってくると言われています。骨、筋肉、関節などから成り立っている運動器が衰え、少しずつ動かさなくなり、活動性が低下すると最終的には介護が必要な寝たきりの状態まで進行してしまいます。

加齢により活動性が低下することは正常な変化ではありますが、活動性低下をそのままにしておくと寝たきりになってしまうまであっという間です。寝たきりを防ぐには適度に運動を続けることが唯一の予防法です。高齢動物の運動療法では、ゆっくりとした散歩や起立しているだけといった、インパクトの少ない運動をできるだけ頻回に定期的に行うことが安全で確実な体力維持につながってきます。現時点で何分くらい歩き続けられるのか、起立していられるのかを測定し、1週間単位で時間を延長していくことが良いとされています。犬の場合、食事の間立たせていることが家庭内で最も行いやすい起立維持の訓練になってきます。立ちながら食べやすくするため食器の高さを調整し、食べている間しっかりと自分を支えられるように調整すると良いでしょう。

身体を支える筋力を維持するとともに、筋肉の柔軟性も維持する必要があるためストレッチも重要です。関節周囲の筋肉をマッサージしたり、関節周囲の軟部組織を柔軟にすることで関節の可動域を改善することができ、けがもせずに済むようになります。

さらに活動性を高め、持久力をつけるには自重を使い、動きを伴った筋トレが有効です。その場で「おすわり→立て→待て」を繰り返す。いわゆるスクワットは後肢の筋力をあげるのに非常に効果が高いと言われています。スクワットでは股関節を進展させることもなく、股関節の変形性関節症を患っていても痛みを伴いません。大腿四頭筋、ハムストリングを中心に鍛えることができるため、排泄時の中腰姿勢を維持するためにも重要です。

寝ている動物をみて「歳をとったから寝ているな」、「起こしたらかわいそう」という言葉をよく耳にします。体調が悪くて寝ているのか、することがないから寝ている生活になって、体力が低下しているのかしっかり見極め、暇で寝ているようであれば一緒に遊ぶ時間を作ってあげるだけでも活力は戻ります。若いころのように活発な遊びではなく、短時間かもしれないが、楽しくすごすことで健康維持ができるのです。

ぜひ普段の食事の時間でもできる起立維持の訓練やストレッチ、スクワットを組み合わせることで飼っているワンちゃんの健康寿命を延ばして、できるだけ寝たきりにならないように予防していきましょう

Y.N.