南が丘動物通信

歯科用レントゲン検査 19年02月17日

 ワンちゃん猫ちゃんでも歯周病などの歯科疾患は多く、またご家族が気にされる箇所でもあるために歯科処置は動物病院でも日常的に行われています。

 ところが人と違い大きく口をあけて歯や歯肉の様子を観察させてくれるわけではありません。そのため歯周病や口腔内腫瘍などは発見が遅れて重症化してから処置を行うことが多くなってしまいます。またほとんどの歯科処置は麻酔をかけて行います、無麻酔で行う方がリスクがあり完全に実施することができないことは以前の診療コラムでもご紹介した通りです。

 人では歯の状態を知るための検査として歯や顎のレントゲン検査がよく行われます。歯医者さんに行って、口の中にフィルムを入れて撮影するものや大きな装置を使って撮影したことあるのではないでしょうか。動物でも同様に口のレントゲン検査は有用な検査なのですが、その撮影はなかなか手こずることが多く、通常のレントゲン撮影装置では上手に撮影することができません。そのため専用の歯科用レントゲン検査装置は撮影がとても楽で、かつ上手に撮影することができるためになかなか重宝します。

 歯のレントゲン検査では主に歯根の状態を知ることができます。動物病院では抜歯処置をすることが多いのですが、歯周病などで歯根部が溶けてなくなっているのかそれともしっかりと残っているのかで行う処置が異なってきます(残っているほうがもちろん大変でムズカシイ処置になります)。また歯周病が進行すると顎の骨折を起こしていることがあり、また抜歯により顎の骨折を引き起こしてしまうリスクを知ることもできます。これだけではありませんが、これらの情報を簡単にかつスピーディに得ることができる検査機器は獣医師にとって非常にありがたいものになっています。

 もちろん歯の検査はレントゲンだけではありません。歯周組織の状態やポケットの深さなどさまざまなものを組み合わせて状態を判断します。現代医学では口腔から様々な疾患をもたらすことがわかっていますので、歯の健康維持に関してお聞きになりたい方は診察にいらしてくださいね。

T.S.

DSC_2395.JPG    DSC_24001.jpg