南が丘動物通信

犬の虫歯(齲歯) 18年10月14日

 人の口腔内の病気として最も多い疾患はよくCMでもいわれているように、虫歯と歯周病になります。それに対して犬では歯周病はすごく多いものの、虫歯の発生率は全体の5%と多くありません。これは虫歯の原因といわれている齲歯原性細菌-酸産生細菌が人と比べて歯の細菌叢の中で正常細菌叢の一部となっていないこと。犬の口腔内はpHが8.0以上の唾液で満たされているので、虫歯になりにくい(虫歯の発生しやすくなるpHは5.4、人の口腔内はpH6.5)ことなど様々な理由があります。さらに、犬は虫歯になっていてもほとんどの症例で平然としていて、痛みを訴えてくることはまれです。

虫歯が進行し、その周囲の多くで歯周病がみられるようになり、飼い主さんが歯石取りを希望され、実際にとってみて初めて虫歯が発見されることも多々あります。症状として強い!というものではありませんが、その実虫歯は進行してしまうと歯髄を侵してしまい、そのまま奥のほうまで進行していくと歯の歯根部分までボロボロにしてしまうため、見つけた時点で進行していることが多いこともあり、抜歯してしまう事が推奨されます。

予防としては人で使用されているフッ素やキシリトールは犬にとって毒性があるため原則として使ってはいけません。歯ブラシでお口をきれいにしてあげる歯磨きが一番になります。

S.A