南が丘動物通信

愛犬が吐いてしまったとき 18年10月07日

犬は人に比べてよく嘔吐(おうと)する動物です。犬では食べ過ぎや水の飲みすぎ、空腹、拾い食い、車酔いなどの単純な原因で吐くことがあります。

嘔吐することによってスッキリとして、そのあとは元気ということは多いですが、慢性的に嘔吐を繰り返したり、元気がなくなったりする場合は病気が隠れている可能性があります。

嘔吐は胃の内容物が食道を経て口から出てくることを指します。食べ物が胃に入る前に吐き出される吐出(としゅつ)とは区別されます。吐出の場合は未消化なものを食後すぐに吐き出します。

嘔吐の症状は、気持ち悪そうにし、舌なめずりして、吐くときにはお腹が大きく上下に収縮するしぐさをみせて吐き出します。嘔吐物は消化中の食事であったり、空腹時には胃液や十二指腸液だったりします。

嘔吐の原因は様々で、想像しやすいのは消化器疾患ですが、肝不全や腎不全などの病気によって血中の有害物質が増えて嘔吐が起こる場合もあります。

また、犬が早朝に黄色い液や白い泡を吐くことがあります。多くのケースでは他に症状はなく、元気で食欲もあります。これは夜間の空腹が原因で黄色い胆汁を含む十二指腸液が胃内へと逆流して胃粘膜を刺激することによって起こる、胆汁嘔吐症候群の可能性があります。胆汁嘔吐症候群は空腹時間を短くするために寝る前に食事をとらせると症状がなくなるケースが多いです。ただし、空腹対策をしても嘔吐が続く場合にはご相談ください。

嘔吐をしていてもしばらく様子を見てもいいものと、すぐに動物病院に連れていくべきものがあります。

しばらく様子を見てもよいものは、車酔いや食べ過ぎ等、嘔吐した原因が明確で、他に症状がなく、連続して嘔吐しておらず、犬が元気に過ごしている場合です。

すぐに動物病院に連れていくべきものは、吐いた後ぐったりしていたり、苦しそうにしている、熱があったり、下痢をしていたり、別の症状(呼吸がおかしかったり、痙攣していたり)や、嘔吐と空嘔吐を繰り返したり、2日以上にわたって嘔吐が続いたり、嘔吐物に血が混じっている場合には、重篤な病気が隠れている可能性があります。

嘔吐後は状況によりますが、半日~1日ほど水と食事を与えずに様子を見た方がいいでしょう。嘔吐が止まっていれば、少し水を与え、吐かないようであれば徐々に量を増やしていきましょう。水を吐かずに落ち着いているようであれば食事を開始します。水と同じで少量から開始して、問題なければ量を増やしていき、1日の量を3~4回に小分けにして与えていきます。

嘔吐の原因は様々です。嘔吐時やその後の様子をよく観察して、少しでも心配なことがあれば自己判断せずに当院を受診されることをおすすめします。

Y.N