南が丘動物通信

犬のブドウ膜皮膚症候群 18年08月26日

 犬の免疫に関連した疾患には胃腸器系、血液系、内分泌系など様々な部位に対するものがあります。その中でも犬のブドウ膜皮膚症候群はその名前の通り、眼と皮膚、特に眼に対して大きく異常をもたらす疾患です。

 犬のブドウ膜皮膚症候群はメラニン色素を含む細胞に対して自己免疫が攻撃をしてしまう疾患です。犬の中でも特に秋田犬での報告が多く、秋田犬が高頻度に保有する遺伝子と関連しているのではないかと考えられています。

 具体的にはブドウ膜のメラニン細胞に対して自己抗体が産生され、肉芽腫性汎ブドウ膜炎が発生し、皮膚と被毛の色素形成欠損が起こします。そのため、通常は突然の前ブドウ膜炎、ケラチン沈着、前房出血および瞳孔反射の低下がみられます。皮膚に関しては眼の症状と同時ないしは遅れて出ることが多く、境界のはっきりした対称性の脱色素班が鼻・唇及び眼瞼に出現するのが特徴です。進行すると失明してしまうため、早期に積極的な治療が必要な疾患で、局所的な眼に対する治療に加えて全身的な免疫抑制療法が必要になります。症状が落ち着いても免疫に対する治療に関しては生涯に通じて行う必要があります。