南が丘動物通信

猫の嗜好性 18年06月24日

猫は犬に比べて食事にうるさく、偏食(食べたことがないものは、食べたがらない)、というイメージは何となくお持ちかもしれません。それには理由があります。猫の嗜好性は、匂い、温度、味、栄養組成など様々な要因によって影響を受けるからです。その中でも特に匂いに関して敏感で、普段の食事であっても環境中に不快な匂いがある場合は、その食事をしばらく食べなくなるということさえもあります。また、食事の温度も嗜好性を左右します。人肌程度に温められた食事を好む傾向にあるため、冷蔵庫で保存しておいた食事を与える際は、温めてあげるのが望ましいです。しかし、40℃以上になると逆に嗜好性が低下するため、温めすぎには注意が必要です。さらに猫の味覚は、甘味を感じない一方で、酸味や苦味に対しては非常に敏感で、苦みのある薬を食事と同時に与えると、その食事を食べなくなることがあり、投薬は基本的に食事とは別にやることが望ましいです。味の好みは母猫が食べている食事の影響を強く受けるともいわれているため、母猫に栄養バランスのとれた優れた食事を与えることも重要です。また、食事以外にも嗜好性に影響を与える因子があり、その代表的なものが食器の種類です。猫のひげが食器の縁に触れることを避けるため、食事や水の容器は浅く広い物を使うことが推奨されます。また、食器の材質としては、ステンレスは冷たく、プラスチックは匂いが食器に残りやすいとされる一方、陶器が最も風味に影響を与えにくいとされているため優れていると考えられています。

健康な時はあまり気にならない事柄かもしれませんが、病気になってしまった際には、快復の為にも食事というのは非常に重要な要素です。以上の事柄を参考に、食事のやり方を見直してみてはいかがでしょうか。

T.H.