南が丘動物通信

犬伝染性気管気管支炎(ケンネルコフ) 17年11月05日

犬伝染性気管気管支炎は、ケンネルコフとも呼ばれ、犬パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス2型、気管支敗血症菌、をはじめ、犬ヘルペスウイルス、レオウイルス、犬ジステンパーウイルスなどの複数のウイルス、細菌およびマイコプラズマの混合感染が原因となり、肺炎を伴わない発作性の発咳を特徴とする疾患です。

感染経路は鼻汁やくしゃみなどの飛沫感染で、多頭飼育や不良な環境下に飼育される犬に発生が多いですが、ペットホテルやドッグランなどで発症した犬との接触により感染する可能性もあります。軽症では発咳のみが症状として現れ、その他一般状態は良好であることが多いですが、混合感染により重症化すると粘液性の膿性鼻汁や眼脂を伴い、発熱、元気消失、食欲不振などがみられます。無治療であれば、肺炎を伴い死亡することもあります。

診断は、特定の原因ウイルスや細菌感染を証明することは困難なため、罹患犬との接触の可能性や、飼育環境、臨床症状などにより行います。

治療は、病原ウイルスや細菌が特定できなくても、二次的な細菌感染や肺炎などによる重症化を予防するためにも、抗菌薬の投与が第一選択となります。その他症状の緩和のために去痰薬、気管支拡張薬、抗炎症薬などを使用します。鎮咳薬は、喀痰の貯留を促すことがあるため、発咳が重度な場合において使用を考慮します。ネブライゼーションは、気道感染の管理、気道クリアランスの改善などの効果により重症化の予防に効果的です。

高温多湿、冷温乾燥を避け、過剰なストレスを改善するなど適切な環境下であれば、通常は軽快します。しかし、衰弱している場合や混合感染を起こせば重篤化するケースもあります。どこか動物が集まるような環境に行った後、発咳が認められるようなことがあれば、早めに受診することをお勧めします。

T.H.