南が丘動物通信

ネコちゃんの肥満・わんちゃんとの違い 17年10月15日

 ネコはイヌに比べて、肥満になりやすいと言われています。ある動物病院の調査では、来院したネコの半数以上が肥満であったと報告されています。国内での犬の肥満率は26パーセントであったという報告と比較しても、ネコちゃんの肥満が日本国内で蔓延していると言えますね。

 決してネコちゃんの飼い主さんばかりがおやつやフードをあげすぎてしまっているわけではないでしょう。原因には、ネコ・イヌそれぞれの種特異的な糖・脂質代謝機構の違いが関わっていると言われています。ネコの肝臓はグルコキナーゼという酵素の活性を欠くこと、インスリンシグナル伝達に関連する遺伝子の発現量もイヌに比べて低いことが報告されています。

 そもそもの肥満の原因はわたしたちと同じように、過食・運動不足ですが、それによって起こる高血糖からインスリンシグナルの伝達異常が起こりやすく、脂肪合成・脂肪の蓄積が進みやすいということですね。さらに、蓄積された脂肪からの炎症反応によってインスリン抵抗性に陥ります。つまり、ネコちゃんは肥満になりやすくそこから糖尿病につながりやすい動物だと言えますね。

 しかし、飼い主さんの多くがダイエットの必要性をご理解されていても、なかなかネコちゃんのダイエットの成功率は低く、10パーセントに満たないという現実があります。ネコでは急激な減量により肝リピドーシスのリスクを高める危険性があるため、イヌよりも少しずつ適切に(体重減少を週0.5~1パーセントに保つことが推奨されています)ダイエットを行う必要があります。フードの適切な量は、ネコちゃんそれぞれでかなり幅があるとも言われています。体重をこまめに測りながらフードの量を調節していく必要があり、どうしてもわんちゃんのダイエットよりも長期戦になってしまうこともダイエットが上手くいかない一つの要因でしょう。

 もちろん、ネコちゃん本人にも頑張ってもらいますが、適切な減量には飼い主さんの気力・忍耐力も試される、といっても言い過ぎではないでしょう。長期戦になるかもしれませんが、ダイエットの必要なネコちゃん(もちろんわんちゃんも)について、ぜひご相談下さい。

M.K