南が丘動物通信

眼底検査 17年09月03日

 眼底とは文字通り眼の底部分のことで、フィルムの役割を果たす網膜、視神経の集まった視神経乳頭など重要な構造が集まっています。暗闇で動物の眼が緑や赤に光って見えるのは、眼底の脈絡膜の中のタペタム(輝板)という部分が光って見えるためです。眼底は主に視覚機能に関わっていることが多く、視覚障害へのアプローチとして眼底検査が実施されることが検査目的となります。

 検査は検眼鏡や、眼底を診るために作られたパンオプティック、倒像検眼鏡などで行います。近年では操作が簡単で容易に眼底を映し出してパソコン上に記録できるクリアビューという機器もあり、当院でも扱っておりますが非常に検査が楽で助かっています。

 眼底所見は主に視神経乳頭、タペタム、網膜血管、ノンタペタム領域の所見をチェックします。犬と猫の違いや、犬種などでも正常所見が異なるために注意が必要です。しかし眼底は血管や神経の異常をビジュアル的に把握できる数少ない構造であるために、その所見は貴重なものになります。

 眼底検査によって分かる病気は多様で、網膜剥離、進行性網膜委縮、眼底出血や、視神経乳頭浮腫で脳腫瘍や脳炎などもわかることがあります。高齢猫は腎不全からの高血圧で網膜剥離などを起こし失明を起こすことも多くあります。

 眼科疾患はいくつかの検査を組み合わせて診断に結び付けることが多く、眼底検査も大事な検査となります。

T.S.