南が丘動物通信

猫の網膜疾患 17年06月04日

 猫の眼の病気のうち、網膜に関する病気は頻度として3番目くらいの多さになります。犬でよく起こる網膜疾患といえば遺伝的なものが多くあげられますが、逆に猫では遺伝的なものは少なく、多くは全身性の代謝異常や薬や食事による2次的な網膜変性がほとんどです。症状としてはいきなりの失明や散瞳があり、眼内出血も認められることがあります。

 その原因としては高血圧性網膜症や、手作り食を与えている猫ちゃんでのタウリン不足が挙げられますが、ほとんどは前者になります。通常は網膜の小動脈の血圧は一定に保たれていることがほとんどですが、眼球の血管は体の中で最も細いために、高血圧になると1番初めにダメージを受けてしまいます。高血圧によって網膜血管の内皮細胞と血管平滑筋がダメージを受けると、血漿や赤血球が血管の外に漏れてしまい、その結果網膜剥離が起きてしまい失明の原因となります。

 治療としてはまず原因となる病気をどうにか似なければいけませんが、網膜剥離が回復しても、視力が戻ることはまれです。高齢の猫ちゃんでは高血圧の原因になる腎臓病や甲状腺の病気が多くみられることからも、定期的な血液検査と血圧の検査はおすすめです。

S.A