南が丘動物通信

マール眼発育異常 17年04月16日

マール眼発育異常はマールカラーやダッフルカラーの犬種に見られる、不完全常染色体劣性遺伝が推測される眼の以上です。この遺伝子を持つ好発犬種(オーストラリアンシェパード、コリー等)の片眼あるいは両眼にみられ、またこの疾患を持つ犬では聴覚障害も知られています。マール遺伝子を持つ犬では毛色が薄い、つまりメラニン細胞が少ないためいわゆるマールカラー・ダッフルカラーといった毛色になります。メラニン細胞はもともと発生の過程で視神経堤細胞から分化するのですが、視神経堤細胞からはメラニン細胞以外に眼では角膜、強膜、ぶどう膜、外眼筋になり、耳では内耳の形成にかかわっていきます。しかしマール遺伝子を持つ犬ではそのもととなるメラニン細胞が少ないため形成に必要な細胞が足りなく、このような異常が出てしまいます。

症状として、小眼球、異常な形の小角膜、角膜実質への沈着物、瞳孔変形を伴った虹彩異色や虹彩低形成、偽多瞳孔、隅角異常などの多発性眼異常がみられます。白内障は小眼球とコロボーマをもった犬の60%に起こることが知られています。赤道部のブドウ腫、コロボーマ、脈絡膜低形成や網膜剥離は、網膜色素上の発育異常が原因です。治療法はなく、基本的に同色同士の繁殖をできるだけしないようにということになります。

S.A