南が丘動物通信

がま腫(唾液腺嚢腫)ってどんなもの? 17年01月29日

犬の唾液は耳下腺、顎下腺、舌下腺、頬骨腺という大きな唾液腺と、口腔内に散在している小さな唾液腺で作られて、唾液管を通って口の中に放出されます。唾液腺嚢腫は、唾液腺導管の閉塞や破裂により唾液が皮下組織内に漏れて水たまりのようになったものです。特に舌下腺にできたものは、ガマガエルの喉に似ていることからガマ腫と呼ばれています。

原因は外傷、唾液腺内や唾液管に結石(唾石という)が出来て唾石が唾液管を閉塞することにより破裂する、遺伝性(ミニチュアプードル、ジャーマンシェパード、ダックスフントなど)、また特発性(原因不明)のこともあります。通常、痛みはなく、顎や舌下、咽頭部辺りにかけて大きな腫脹が見られます。「喉が腫れている」と言って連れてこられることが多いです。口腔内に唾液腺嚢腫ができた場合、嚥下障害を引き起こすことがあります。咽頭部に発生した場合は吐き気や呼吸困難を起こすこともあります。唾液腺嚢腫が傷つけば出血したり、その不快感から食欲不振が見られることもあります。診断は、嚢腫に針を刺して内容物を吸引し唾液が出てくることで確認します。治療法は、貯まった唾液を吸引するだけでは多くの場合再発するので、外科的に唾液腺の摘出が推奨されています。

動物は毛でおおわれており、特に顔周りは皮のたるみもあるので一目瞭然というわけにはいきませんが、喉のあたりに起きる異常としては唾液腺嚢腫だけでなく、甲状腺癌、リンパ節炎、リンパ腫などもあります。日頃のスキンシップから早期発見を心がけましょう。M.M.

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