南が丘動物通信

犬の喉頭麻痺 15年07月26日

喉頭麻痺とは、吸気時における披裂軟骨の外転不全により気道が閉塞する疾患です。原因としては頚部腹側あるいは胸部頭側の外傷・炎症、腫瘍が半回喉頭神経に障害を与えることもあります。また、多発性神経症、免疫介在性疾患、内分泌疾患あるいは他の全身性疾患に伴って発現することもあります。しかし、原因が特定できない特発性のことが多いです。特発性の喉頭麻痺は大型犬種で多く、呼吸困難・ぜい鳴が認められます。喉頭麻痺は徐々に進行してきますが、運動、興奮、環境温度の上昇により代償機能が失われ、努力性呼吸が悪化し、気道内圧が陰圧になり、喉頭浮腫や炎症が起こり、さらに呼吸状態が悪化し、急性の呼吸困難に陥ります。呼吸困難を呈している場合は迅速な処置が必要になり、チアノーゼ、失神をして死亡する場合もあります。治療法としては喉頭形成術で呼吸が出来る程度の喉頭を常に開口した状態にする外科手術が必要となります。術後の合併症として最も多いのは誤嚥性肺炎で、喉頭を大きく開口はさせてしまうと起きやすいです。外科手術が出来ない場合には抗炎症量のプレドニゾロンとケージレストで喉頭および咽頭の浮腫を抑えて空気の流れを改善できる場合もあります。

このところだいぶ涼しくなってきましたが、中年以降の大型犬で努力性呼吸がひどい場合は暑さだけが原因でない可能性があるので早めの診察をお勧めします。

M.M.