南が丘動物通信

リンパ球・形質細胞性腸炎 15年06月14日

リンパ球・形質細胞性腸炎は犬・猫の炎症性腸疾患(IBD)のもっとも頻繁に認められるパターンのひとつです。IBDは腸粘膜におけるリンパ球や形質細胞、好酸球、マクロファージ、好中球といった様々な炎症細胞のびまん性浸潤を特徴とした慢性腸疾患であり、リンパ球・形質細胞性腸炎のほかに好酸球性腸炎、肉芽腫性腸炎、慢性組織球性潰瘍性大腸炎などがあげられます。発生原因について明確な解明はいまだなされていませんが、ひとつは腸粘膜における免疫反応の暴走、もうひとつは特定の細菌や食物などの抗原に対する腸粘膜免疫系の正常反応の亢進という二つの要因が推測されます。

症状は慢性の下痢が主体であり、ほかに体重減少、嘔吐、腹水貯留を呈するものもあります。血液検査で低蛋白血症がみられることが非常に多いのですが、当疾患の診断には他の低蛋白血症をおこす疾患の除外が必要不可欠で、内視鏡による腸粘膜の組織検査によって最終的に診断されます。すなわち除外診断の過程で、腎機能・肝機能、心機能や腸内リンパ節の形態などの評価のために尿検査やⅩ線検査、超音波検査などの検査が必要となる場合があります。

H.B.