南が丘動物通信

犬の直腸腺癌 14年03月09日

犬の大腸腫瘍症例では、症状として血便や排便の異常などが認められることが多くあります。犬の大腸腫瘍の6割近くは腺癌が占めますが、そのほかに平滑筋肉腫・GISTなどの肉腫、リンパ腫、形質細胞腫など様々な種類が存在します。細胞診断や組織生検などを行なうことで、腫瘍の確定を得ることができます。また全身的な画像検査(レントゲン検査、腹部エコー検査、内視鏡検査、CT検査など)によって腫瘍の詳細な発生部位、リンパ節転移などの腫瘍の進行度を把握することができます。

先日、5歳のワイヤーフォックステリアの直腸粘膜に発生した腫瘤を外科手術にて摘出しました。術前生検および摘出した腫瘤の病理組織検査の結果、直腸腺癌(低悪性度)と診断されました。腫瘍はとりきれており、今後の経過も良好と予測されますが、直腸腺癌は多発傾向にあることから、新たな病変の形成について経過に注意していきたいと思います。
H.B.

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