南が丘動物通信

椎間板脊椎炎 14年01月26日

椎間板脊椎炎は椎間板の炎症や感染および隣接する椎骨終板や椎体の骨髄炎と定義されます。最も一般的な原因は細菌の椎間腔への血行性散布による発症であり、引き続き隣接する椎骨に炎症は波及します。
症状は、感染による沈うつ、食欲低下、発熱、体重減少などの全身症状から、硬直や歩行困難など様々です。炎症性組織の増殖・肥厚や髄膜を介した炎症の拡大、および椎体の病的骨折や椎間板突出の併発など病変の部位や重篤度によっては運動失調、不全麻痺、麻痺が引き起こされます。
診断は病歴や身体検査および神経学的検査、血液検査に基づいて行われます。X線検査では、椎体終板の溶解や隣接椎体の骨溶解、椎体間のブリッジ形成や狭小化などが認められます。CT検査およびMRI検査も診断に利用されます。原因細菌の特定のために血液や尿の培養が実施される場合もありますが、陽性結果が得られるのは40~75%ともいわれています。
治療は抗生物質治療が一般的ですが、過去の文献では2~4か月の継続的治療が必要であったという報告もあります。椎体の病的骨折や椎間板突出が併発している症例では外科手術が必要な場合もあります。神経学的徴候が軽度で、多発性病変や椎体骨折、不安定化や脱臼がみられない限り、一般的に予後は良好です。
H.B.