南が丘動物通信

犬のレプトスピラ病 11年09月13日

レプトスピラ病は、スピロヘータ目レプトスピラ科に属するグラム陰性細菌であり、12遺伝種(または13種)と分類が確定していない4つの遺伝群に分類され、さらに免疫学的性状により250以上の血清型に分類されます。レプトスピラ属には非病原性のものも存在しています。また家畜伝染病予防法により届出に指定されている血清型は7血清型だけです。犬のレプトスピラ症は、血清型CanicolaおよびIcterohaemorrhagiaeによるものが多いとされていますが、その他の血清型による感染症もおこります。環境中のレプトスピラは、中性付近の淡水中や湿った土壌内で長時間生存出来きます。病原性レプトスピラは、人を含め、ほとんど全ての哺乳類動物に感染する事ができ、感染後多くの動物がレプトスピラを保有すると考えられています。病原性レプトスピラは、動物の腎臓に定着し、尿中に排泄されます。排出期間は動物種によってことなります。レプトスピラは、熱(50度で10分で死滅)や乾燥、酸(ph6.8以下)に弱いとされています。また、感染は、尿との直接的な接触の他に、汚染された水や土壌によって経口、または経皮感染が成立します。感染の初期は、血中にも存在しますので、血液も感染源になります。また髄液や組織も感染源になります。犬のレプトスピラの症状は、急性または、亜急性で、亜急性が多いとされています。血清型Canicolaの感染症による亜急性型は、腎炎症状を示します。急性型は、嘔吐、脱水、血便、尿毒症が認められ、発症後36時間から4日で死亡する事が頻繁にあります。血清型Icterohaemorrhagiaeは、亜急性型では、腎炎症状のほかに、黄疸や出血の頻度が高く、発症から数時間から2、3日で死亡しうる甚急性型もあります。一方不顕性感染も多いとされています。ヒトでは、急性熱性疾患であり、軽症から、黄疸、出血、腎障害を伴う重症型まで多彩な症状を示します。ヒトはレプトスピラの保菌者とはならず、ヒト同士での感染も稀です。
診断には、1病原体の分離、2血清診断法、3遺伝子の検出などがあります。
現在犬での予防はワクチン接種が上げられます。三田市周辺は、やはり野生動物からの感染の危険性が高い地域と考えられます。犬で問題になっている病原体の2もしくは3種類に対するワクチンがありますので、ぜひ当院にご相談下さい。