南が丘動物通信

ウサギの皮下膿瘍 11年04月05日

ウサギは細菌感染に弱く、皮下膿瘍は犬や猫と比べて完治することが難しい病気の一つです。
病気の原因としては、皮脂腺や歯根の炎症が化膿し膿瘍に発展する場合や、足底潰瘍から膿瘍ができる場合、他の動物による咬傷、手術創の化膿など様々です。
 
症状は皮下の腫瘤を認める以外は無症状なことが多く、腫瘍と勘違いされて来院されることもあります。上顎後臼歯の歯根から起こる顎膿瘍は眼窩(眼球の納まっているくぼみ)の膿瘍を引き起こすことがあり、眼球の突出を引き起こすことがあります。眼球の突出は痛みを伴うため、通常の膿瘍と異なり食欲や元気が低下することが多いです。

治療は抗生剤の全身投与を行うとともに膿瘍を切開して排膿・洗浄します(可能であれば膿瘍壁ごと摘出します)。膿瘍が皮膚の直下まで来ていない時期に切開すると出血が激しいことが多く、切開する時期と場所を選ばなければなりません。ウサギの皮下膿瘍の治療が困難な原因として、膿がチーズ様に固いことがあげられます。排膿する際に膿が固い場合はめん棒などでかき出さなければなりません。排膿・洗浄を行った後、抗生剤の注入を行うこともあります。

歯根の化膿による膿瘍は骨を融解しながら進行するので、病巣が骨にも及んでいるため治癒率が著しく低くなってしまいます。病巣が骨と遊離している場合でも慎重な治療が必要となります。