南が丘動物通信

肺高血圧症 11年03月15日

肺高血圧症(PH)は、心臓から肺にいく動脈が、収縮期で30mmHg、平均の肺動脈血圧が20mmHg以上になることです。肺動脈の血圧が高くなる原因として一般的な病気は犬フィラリア症ですが、ほかにも僧房弁閉鎖不全症や猫の心筋症、先天性心疾患、肺血栓塞栓症、肺動脈性肺高血圧症などといった原因で起こりうる疾患です。肺高血圧症症状は、ほとんどの症例で、発咳、呼吸困難、運動不耐性、嗜眠傾向、腹水や肝腫大による腹部膨満、失神、チアノーゼ、喀血などを呈します。重度になると、後肢の浮腫を生じる場合があります。検査では、原因や症例によっては右心房と右心室の間の三尖弁からの雑音が聴診されたり、肝酵素の上昇、チアノーゼ、赤血球増加症が認められたりします。レントゲンでは、一般的には右心室の拡大、肺実質の浸潤所見や、肺動脈の拡張が認められます。重度の肺高血圧症は、心電図でも異常が見つかりますが,心エコーが、肺高血圧症を診断する最も有効な方法です。一般的には右心房や右心室の拡大等の評価をします。
 治療法は、原因によって内服の種類は変わりますが、他に、強心作用のある薬や血管拡張薬を使用します。