南が丘動物通信

輸入凍結精液による犬の人工授精 11年01月17日

いままでは優秀な海外の血統を導入するためには雌犬を海外に送り交配させるか、妊娠した雌犬を輸入するか、高価な種雄を輸入するしかありませんでした。
しかし、2008年に凍結精液による人工授精が日本ケンネルクラブ(JKC)によって認められたことにより日本における状況もようやく変わりました。犬の輸送なしに精子のみを送ることにより交配が可能になったのです。
凍結精液を海外から輸入することは、犬種の改良や遺伝疾患の撲滅に貢献するところも多く、自然交配によるブルセラ症などの感染症の予防にも役立つため、これからますます利用されるものと期待されております。
当院では、2008年にICSB(インターナショナル・キャナイン・シーメン・バンク)の認定繁殖工学獣医師を取得しております。
凍結精液による人工授精を行うためには血液中のプロゲステロンの値を計測し、排卵日をきっちりと評価したうえでの交配が必要となります。いったん凍結された精子は解凍された際、生存率および活動性も低下しているため子宮内に直接注入することがお勧めされます。子宮内注入には次の二つの方法があります。
手術による人工授精
子宮内に直接精子を注入します。すべての精子が人工的に子宮内に留まるためもっとも効率のよい方法です。精子数が少ない新鮮精液の人工授精にも有用です。
内視鏡を使った人工授精
お腹にメスをいれることなしに人工授精用の特殊内視鏡を使うことにより膣から子宮頸管をつうじて子宮内に精子を注入いたします。
新鮮精液やチルド精液による人工授精には、バルーンカテーテルを使用した人工授精がお勧めになります。凍結精液には不向きですが、膣内人工授精としてストロー法などに比べ高い受胎率を得ることが可能です。

凍結精液による人工授精以外のご相談にも対処いたします。