南が丘動物通信

ウサギの湿性皮膚炎 10年12月14日

本症はウサギの皮膚が持続的に湿っていることで起こる細菌性皮膚炎で、症状としては発赤、びらん、脱毛などがみられます。皮膚が湿る原因としては尿、流涎、流涙などがあげられます。

尿による湿性皮膚炎は尿やけとも呼ばれ、下半身不随や結石による尿道閉塞などの一次疾患によって尿漏れがある場合や、軟便の肛門周囲への固着により排尿が妨げられる(ウサギは肛門と尿道口との距離が極端に短いので)場合などがあります。また肥満によっても尿道口が皮膚のヒダに覆われ尿やけを起こすことがあります。

流涎による湿性皮膚炎は臼歯の過長症や切歯の不正咬合による口唇、口腔内などの傷や潰瘍に起因することが多いです。また高齢のウサギや歯牙の老化の著しいウサギでは歯根の炎症による歯肉の腫れ、歯の動揺が流涎の原因になることもあります。

流涙は上顎臼歯の歯根の異常に由来していることが多く、歯根の炎症や変形、変位のより鼻涙管(涙が目から鼻に流れる管)の閉塞や狭窄が生じることで流涙症となります。

湿性皮膚炎は皮膚病変の治療はもとより、何が皮膚炎を起こす原因となっているかをつきとめ、治療することが重要です。早期発見・早期治療のためにも本症を疑う症状を確認された際は早めの来院をお勧めします。