南が丘動物通信

犬のアトピー性皮膚炎 10年08月24日

犬のアトピー性皮膚炎は皮膚のアレルギー疾患として最も多くみられる疾患で、一般的に1~3歳で臨床兆候が現れはじめます。初期には季節性の場合もありますが、次第に通年性になります。(ごく軽度の症例では、季節性のままの場合もあります)典型的な症状は、顔面、指趾、耳、鼡径部などの紅斑や痒みで、そのほかに皮膚や耳に感染症を伴うことが多いです。ほとんどの症例では環境アレルゲンが引き金となって症状が現れますが、食物アレルゲンや非アレルギー性(内因性疾患など)に症状がでることもあります。

アトピー性皮膚炎は環境アレルゲンや、皮膚の二次感染、食物アレルギーなどの増悪因子によって症状が悪化することがしられています。アトピーの治療は炎症と搔痒をコントロールするとともに、シャンプーや抗菌薬、食餌中のアレルゲンの特定、除去などをおこなうことによって増悪因子をコントロールすることが重要です。

さらに近年、皮膚のバリア機能の障害が増悪因子になっているという報告もあります。これは皮膚のバリア機能の障害によって、アレルゲンの浸透性が高まるからであると考えられています。さらにアトピー性皮膚炎が出やすい部位(顔面、指趾、耳、鼡径部など)は他の部位に比べて浸透性が高いことも知られています。これらのことから、皮膚のバリア機能の改善を行うことがアトピー性皮膚炎の予防につながるのではないかと考えられます。