南が丘動物通信

天疱瘡 10年08月10日


天疱瘡は、ヒトのみならず、犬、猫、ウマ、ヤギなどにも発症する自己免疫疾患であります。犬の天疱瘡は、尋常性天疱瘡と落葉状天疱瘡とに大別されます。犬尋常性天疱瘡は、粘膜、粘膜皮膚境界部、皮膚のいずれかに、水疱、糜爛が認められます。犬落葉上天疱瘡では、皮膚に限局した膿疱、びらん、痂皮が認められます。病理組織検査では、尋常性天疱瘡では、皮膚基底層直上に、落葉状天疱瘡は、表皮上層において表皮細胞間接着の傷害による表皮内裂隙の形成が認められます。また症例の70〜80%で表皮細胞間に免疫グロブリン沈着が認められますので、ヒトと同様に、天疱瘡は、角化細胞同士の接着が自己抗体によって障害された結果、皮膚や粘膜に水疱、膿疱、びらんが形成されると考えられています。犬では、落葉状天疱瘡がもっともよく認められる自己免疫性疾患であると報告されています。その臨床症状は、病変が皮膚に限局されていることであります。よく認められる症状は、顔面、特に鼻稜、眼瞼、耳介皮膚における膿疱、発赤、痂皮形成です。また足底の角質増多が認められることが多くあります。尋常性天疱瘡の臨床症状は、口腔粘膜での水疱およびびらん形成が特徴であり、落葉状天疱瘡と異なり顔面の症状は少ないです。他に肛門周囲、性器周囲の粘膜皮膚境界部に皮診を認められることも多く、腋窩、そけい部にびらん、潰瘍が認められます。水疱は脆弱です。
天疱瘡の診断は、膿疱の細胞診、皮膚病理組織学検査、免疫学検査があります。
治療法はステロイドを主流とした、免疫抑制療法であります。その治療は一生にわたります。また日光をさけることで、症状が軽減する場合もあります。