南が丘動物通信

肛門嚢炎 09年11月03日

 犬や猫にはイタチやスカンクのように肛門の両脇に悪臭を放つ一対の分泌腺である肛門嚢が開口しており、内容物は排便時に同時に排出されています。この肛門嚢に細菌感染が生じたり、肛門嚢の導管がなんらかの原因で閉塞すると、肛門嚢炎がおこり、嚢内は膿汁で充満(膿瘍)するようになります。
本疾患ではいろいろな症状を現しますが、それらの多くが肛門嚢の炎症や分泌物の停滞に伴う肛門部の不快感に起因しています。すなわち、肛門部をなめまわしたり噛んだり、肛門部を地面や床にこすりつけて歩く独特の動作をしたり、自分の尾を追いかけてぐるぐる回る動作をします。また、皮膚が自壊して穴が開き、膿汁の排出や出血が起こる場合もあります。
 治療は膿汁を排出させ、膿汁のたまった肛門嚢を洗浄します。多くの場合、一度洗浄すると楽になるようですが、数日間の治療が必要となります。また、本疾患を何度も繰り返す場合、肛門嚢を切除する方法もありますので当院までご相談ください。