南が丘動物通信

犬のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症) 08年10月17日

クッシング症候群の症状は多飲多尿、多食、腹部拡張、運動耐性の低下、呼吸数の増加、肥満、脱毛などさまざまです。原因は下垂体の腫瘍または副腎の腫瘍により副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されることによりおきてきます。アトピーの治療などに副腎皮質ホルモンを長期間にわたり与えることによってもおきることがあります。8歳以上の高齢犬に多く、犬種は限られておりませんが、シーズー、プードル、ダックスフント、ビーグルなどが発症しやすいと言われております。近年になり非常に増えてきた病気の一つです。下垂体の腫瘍では微小腫瘍が多く、ミトタンやトリロスタンによる内服療法が主に行われます。副腎の腫瘍では手術やトリロスタンによる内服療法が選択されます。診断はActh刺激試験などによる血液検査(コルチゾール)により行われ、高性能の超音波診断装置が分類、評価には必須となってきます。維持療法は血液検査の値により投与量をコントロールします。
発見が遅くなると心臓病、腎臓病、糖尿病などを併発することが多く、早期発見が望まれます。血液検査のSAP(アルカリフォスファターゼ)は早期発見の手助けになるため高齢犬は検診を受けられることをお勧めします。当院の長期治療例では7年をこえる犬もいました。