南が丘動物通信

猫の下部尿路疾患 22年01月25日

 下部尿路疾患は血尿や頻尿、尿道閉塞などを主訴とし、様々な原因が下部尿路疾患を起こします。最も多いのは原因が分からない特発性膀胱炎で特に若い猫でよく見られます。特発性膀胱炎は様々な要因が関与していると考えられていますが、最も重要なのがストレスと濃い尿で、怖がりで神経質な性格、飲水量が少ない、室内飼育で運動不足などがリスク因子となることが言われています。また雄猫では尿道閉塞を起こすことにつながり、命に関わるため注意が必要です。特発性膀胱炎は根治は難しく、治療において大事なことは症状が軽度な時期を長くしてあげること、また尿道閉塞を起こさないことが重要です。

 大事な割に難しいのが、ストレスを軽減してあげることです。そもそも何が猫にとってストレスなのか特定することが難しく、毎日の習慣や家庭環境から確認します。環境としては猫ちゃんの生活空間の改善、トイレの改善(猫1匹にトイレ2つ)、他の猫との接触、家族との接触など多面的に環境改善を目指します。

 飲水量を増やすことはとても大事で、水飲み場を増やしたり好きな飲水方法を探してあげてください。ウェットフードが最も理想ですが、ドライしか食べてこなかった猫は食事変更がかえってストレスになることもあるため注意が必要です。

 特発性膀胱炎は慢性になると症状がしつこく、治まるのに時間がかかることも多く遭遇します。特に大事なのが除外診断と問診です。猫の排尿トラブルの際はご相談ください。

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T.S.