南が丘動物通信

ヒキガエル中毒(toad poisoning) 20年08月05日

今回は、ヒキガエル中毒についてご紹介します。

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ヒキガエルは日本にも生息の認めらる大型のカエルです。ヒキガエル中毒は、その耳下腺より産生される毒によって起こります。その多くは経口摂取によって起こりますが、傷や破壊された皮膚からの吸収でも生じます。

ヒキガエルの種類によってその毒性は多様であると報告されています。毒液にはさまざまな物質が含まれているようですが、主として血管内凝固を招くジキタリス様作用を発揮する物質や、強昇圧作用を持った物質が含まれているようです。ある地域(例に挙げられているのはフロリダ)では、ヒキガエルの接種が未治療の犬の約100%が致死的であったという報告もあります。

ヒキガエルを食べてしまった動物は、しばしば口を前足でけり、吐くしぐさあるいは重度の嘔吐を起こします。その中でも重篤な症例では、不整脈、失明、痙攣、衰弱し、食べてから30-60分以内に死に至ってしまうケースもあるようです。

あまり、日々の診療の中では出会うことのない中毒ではありますが、三田市内の公園でもヒキガエルの生息は報告されてはいます。また、実験的なヒキガエル中毒のレポートでは、日本国内の野生のヒキガエルの摂取によって、嘔吐や、流挺、頭振等のジギタリス様中毒症状があったと報告されています。そのため、十分可能性としては起こり得るため、今回ご紹介させていただきました。

もしも、ご家庭の動物さんが、ヒキガエルを食べてしまったら、まずはすぐに毒液を除去するために大量の水で口を洗ってください。そして、病院へ連絡していただきたいと思います。

M.K