南が丘動物通信

胆嚢粘液嚢腫による胆嚢摘出が続きます。 20年06月12日

胆嚢粘液嚢腫は胆嚢内に不動性の粘液物質が充満し異常に拡張する病気です。好発犬種はシェットランド・シープドッグ、コッカー・スパニエル、ビーグル、シー・ズー、ミニチュア・シュナウザーですがどの犬種においてもおこります。原因や病態はまだ不明な部分もおおいのですが、胆嚢運動の低下や短銃の排泄障害により胆汁再吸収による濃縮が起こりさらに胆嚢の粘液産生細胞が過剰なムチン分泌を起こした結果であるといわれ、近年増加傾向にあります。多くは慢性経過をとり放置しておくと総胆管の閉塞や胆嚢破裂を併発し重篤になるケースが多くあります。超音波検査により発見されやすくなりました。写真は先日手術を行った犬の胆嚢のエコーです。典型的な画像所見で、実際に胆嚢をあけてみるとびっくりするほどの粘張度でねばっこくてびっくりいたします。先日来、続いて胆嚢摘出があります。異常を早く発見するためには血液の健康診断も役に立ちます。ALT,やALPのような肝臓酵素が高い場合、総コレステロールが高い場合に起きていることが多く、エコー検査をおこなうと発見できます。副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症を持っていると起きやすいことが分かっており要注意です。手術のタイミングは難しいのですが周術期の死亡率は2~3割と高く、症状が酷くでるまえに手遅れにならない状態で手術をおこなうことが必要です。

RIMG1929.JPG