南が丘動物通信

尿の色 18年09月09日

 たまたま動物さんの尿を見ると、いつもと色が違う・・・。病院に持ってきたら色が変わってしまっている・・・。

 家庭でよく動物さんを観察されているオーナーさんから、尿の変化についてお話しを聞く機会は少なくありません。よく知られるように、尿にはたくさんの情報が隠れており、腎泌尿器系の疾患だけにとどまらず、内分泌疾患や、沈黙の臓器と呼ばれる肝臓の疾患に対してヒントを与えることもあります。今回は特にその色調の変化について、コラムに残したいと思います。

 まず、通常の尿は蛋白質の代謝産物であるウロクロムという色素によって黄色から琥珀色の色調を呈しています。

 色調の異常として、たとえば、黄疸があるとき、ビリルビンのため暗黄色~橙黄色となり、ビリルビンが酸化すると、黄緑色になります。他には、ビタミンB2や緑膿菌の混入でも黄緑色になります。

 もっとも日常診療で見られる色調の異常は赤色~赤褐色尿でしょうか。これは、いわゆる血尿、赤血球が混じった状態の他に、血管内での溶血(ビリルビンへ変換する速度よりも早い)を示すヘモグロビンの混じった状態、重度の筋肉の壊死や外傷によって放出されたミオグロビンの存在する状態が考えられます。さらに、ヘモグロビンやミオグロビンが酸化されると、赤褐色から黒色へ変化します。

 また、正常尿はふつう透明ですが(放置すると混濁します)、脂肪、尿円柱、血症、粘液、細胞成分が増加した場合や微生物や精子の混入が著しい場合には混濁します。

 どうしても、我々ヒトと比べると尿の採取は困難になりがちですが、上記のような色調の変化だけでもいろいろな情報を与えてくれる尿です。お弁当のお醤油さし程あれば十分尿検査可能であるので、変わったことがあれば・・・・・・なくとも、疾患の初期にまず尿に異常に見られるものもあるため、健康診断の意味としても積極的に尿検査は行っていくべきですね。

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M.K