南が丘動物通信

ハムスターの子宮蓄膿症 18年07月22日

 一般的に繁殖を望まないイヌやネコでは、高齢期に発生が予測される疾患の予防や発情に伴うストレスの軽減のために、健康な個体に対して精巣摘出術や卵巣子宮摘出術を行うことを推奨しております。しかし、ハムスターの場合は現実的に、手術によって得られるメリットよりも手術や麻酔に伴うリスクの方が勝っていると判断する獣医師の方が多いでしょう。

当院でも特にハムスターのメスの子宮蓄膿症は一般診療で出会う機会のある疾患です。 国内ではハムスターの生殖器疾患としては、メスの疾病のほうが多く報告されています。いつ急激な状態の悪化が生じても不思議ではない疾患ですので、まず異常に気づくことが大切です。

 まず、性成熟後のメスは4日ごとに発情周期を繰り返しますが、イヌのように発情出血はないため、出血が認められた場合は何らかの生殖器疾患の存在を疑うべきです。外陰部からの出血は他に泌尿器系の疾患から生じることもありますが、通常排尿痛やしぶりといった症状が伴います。

 ただ、発情周期に伴い数日ごとに膿とよく似た正常の膣分泌物が陰部から認められることはあるため、迷うようなときは膿であるのか(好中球があるのか)を顕微鏡下で鑑別することが必要です。

 他には食欲不振や痒みのない脱毛といった一見して生殖器の異常とは関係ない症状がまずみられる場合もあります。

M.K