南が丘動物通信

レーザーサーミア 17年11月12日

熱に対して正常細胞は44℃から生存率が下がります。これに対して、腫瘍細胞は42℃から生存率が下がります。レーザーサーミアは腫瘍の中心部にレーザー光を拡散させる特殊なプローブを挿入し、腫瘍全体の温度を42.5〜43℃に加温することにより癌細胞のみを死滅させる局所温熱療法を指します。

また設定温度を40℃に下げることで、組織の脱落壊死をおこさず、温熱による免疫力活性化、腫瘍栄養血管新生を抑制するマイルドレーザーサーミアという治療も可能です。

写真は、ロータリーハンドピースを用いたレーザー照射によりマイルドレーザーサーミアを実施している様子です。半導体レーザーは浸透性が高く、腫瘍の発生部位にもよりますが、無麻酔で実施可能で、腹腔内や胸腔内など様々な部位にも適応できます。

悪性腫瘍症例では、腫瘍の進行の具合やその発生部位など様々な理由で外科手術が困難な場合があります。そのような症例でも、腫瘍で苦しむ動物たちのQOL(生活の質)の維持・向上を可能にする治療の選択肢の一つとして当院ではレーザーサーミアを採用しております。治療の詳細については、獣医師までご相談ください。

H.B.

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