南が丘動物通信

外出注意!猫の白血病 16年10月16日

猫白血病ウイルス(FeLV)はレトロウイルス科ガンマレトロウイルス亜科のウイルスであり、主な感染経路は接触感染によるものです。毛づくろいや共同で飲食することによって成立し、唾液や鼻汁が媒体と考えられています。また、その他にも、経胎盤、経乳汁および性交感染によって成立します。感染猫は屋外飼育の猫が多く、感染した猫の多くは4年以内に死亡すると言われています。

FeLV感染症の猫の症状は様々です。一般的には食欲不振、体重減少、沈鬱といった非特異的な症状が見られます。FeLV感染症では、しばしば免疫不全症が発生するため、口内炎が発生しやすくなります。また、前縦隔洞や腎臓にリンパ腫が発生しやすく、その場合には呼吸困難や腎臓腫大、尿毒症などが認められます。造血器腫瘍が発生しやすいため、発熱、可視粘膜蒼白、出血傾向が見られることがあります。さらに眼のリンパ腫によって、縮瞳、眼瞼痙攣、眼球混濁が発生します。その他、FIP、トキソプラズマ、クリプトコッカスに重感染した場合には、神経症状が見られることもあります。

FeLVの診断は血清中のウイルス抗原をELISAもしくはIFAにて検出することによって行われます。現在は簡易型キットが普及しており、迅速にFeLV感染の検査ができます。

治療に関してはFeLV感染症によって発生する疾患が多彩であるため、個々の疾患に対して適切な処置を行うことが重要です。

 予防法としては、猫を室内飼育にし、FeLVとの接触を防ぐことが最も良い予防法であります。飼い主様にはきちんと病気を理解していただき、室内飼育を積極的にしていただけたらと思います。

D.T