南が丘動物通信

耳ダニ症 15年11月08日

 耳道の中に生息するキュウセンヒゼンダニのOtodectes cynotisが原因で発生する外耳炎で、犬猫ともに感染しますが特に子猫で多くみられます。このダニは感染性が強く、大人の猫はキャリアとしてダニを保有していることも多いです。猫の外耳炎の原因としてはこれがもっとも多いとされています。

 特徴的な暗い茶色や黒色の耳垢が蓄積し、細菌感染が合併した場合には膿状となります。掻痒感は強く、動物は耳を派手に掻くために脱毛や皮膚が傷ついていることが多いです。また耳だけでなく頭部や頸部、体幹部の皮膚にも掻痒感を現すことがあります。

 耳鏡検査を行うと、直接ダニが動いているのが白い点々として見えることがあります。あとは耳道のカサブタや耳垢からダニを顕微鏡で確認することで診断することができます。治療は耳道内のダニを耳垢とともに洗浄することと、殺虫効果のある薬剤を使用することです。現在ではセラメクチンの外用が最も使用されています。しかしミミダニは感染性が強いために、感染した動物が接触した可能性のある動物もいっしょに治療を行った方が良いとされているため注意が必要です。

 外耳炎の原因はこれ以外にもたくさんあります。耳を気にしている動物さんがいましたら是非ご相談ください。

T.S.