南が丘動物通信

白内障 14年09月14日

 白内障は眼球のレンズ(水晶体)の変性により白く濁ってしまうことで、人でも発生が多い事から、眼が白くなったと来院される患者さんは多くおられます。ただ高齢犬の場合、真の白内障ではなく、核硬化症という視覚には障害を起こさない加齢性変化もあるので鑑別が必要になります。
 白内障は遺伝性、加齢性、外傷性など、さまざまな原因があります。他の眼科疾患、例えば角膜穿孔、ぶどう膜炎、慢性緑内障などから二次的に起こる事もあり、また糖尿病などの全身疾患からの白内障もあるため、眼だけでなく全身の検査が必要な場合もあります。犬ではアメリカンコッカースパニエル、トイプードル、柴犬、シュナウザー、ボストンテリアなどが多く、犬種により進行状況が異なります。猫ではまれです。
 白内障になるとレンズが膨らみ、水晶体タンパクが漏れだすと激烈な炎症を引き起こします。これを水晶体誘発性ぶどう膜炎といい、白内障患者では常に気をつけなければなりません。
白内障手術は人では一般的ですが、犬では人よりも難易度の高い専門性の要求される手術となります。手術は超音波乳化吸引術と眼内レンズ挿入で行います。術後も緑内障や網膜剥離など経過をみていかなければなりません。
 眼は飼い主さんが異常に気づきやすいのですが、白内障は症状が一気に進行する可能性があり注意を要します。気になる事がございましたらお尋ねください。
T.S.