南が丘動物通信

多血小板血漿療法(PRP療法) 18年03月04日

血小板には血液を凝固させる作用の他に、成長因子と呼ばれるサイトカインが豊富に含まれています。このサイトカインを利用して組織再生効果や抗炎症効果などを得る治療を多血小板血漿(Platelet Rich PlasmaPRP)療法といいます。人医療においては、1998年にMarxらにより歯科領域で初めてPRPが下顎骨再建術に臨床応用されました。骨再生および骨増大を目的に腸骨と併用移植し、その結果有意に高い骨成熟度と骨面積率を得たというこの報告をきっかけに、PRP療法は世界中に広がり、今では血小板の持つ様々な効果が報告されています。獣医領域においても、近年PRP療法の注目度は高まっており、症例報告数も年々増えています。

患者より採取した血液から、血小板が豊富な血漿を分離しゲル化したものを病変部に注入します。患者自らの血液から作成するのでアレルギー反応などは生じにくく、培養操作も不要で細菌の増殖なども起こらないため安全性も高いです。

当院でもPRP療法を実施しております。骨折症例における骨増生促進や表皮損傷症例での創傷治癒を目的に治療を行なったり、関節炎症例では疼痛緩和や抗炎症作用が期待できる治療です。

PRP療法についてのご相談・ご希望がございましたら、獣医師までご相談ください。

H.B.