南が丘動物通信

中枢性尿崩症 17年07月30日

 中枢性尿崩症は、脳の視床下部における抗利尿ホルモン産生部位の破壊、抗利尿ホルモンを下垂体後葉へ運ぶ主要な軸索の欠損、後葉に貯蔵された抗利尿ホルモン放出能の崩壊により、抗利尿ホルモンが腎臓へと命令を出せなくなり、その結果尿が濃縮されずに出てしまう状態に陥ることをいいます。

 そのため中枢性尿崩症の犬は水制限をしても尿を濃くすることが難しく、水制限後も尿比重を測定すると低張尿(1.006以下)のままとなります。病因としてはいろいろなことが考えられますが、特定できる最も一般的なものとしては頭部の外傷、視床下部あるいは下垂体後葉の腫瘍が原因となりえます。また、炎症、動脈瘤、嚢胞なども同じく原因となりえます。人では免疫介在性の 炎症によって中枢性尿崩症が起こるとされていますが、動物ではこのようなタイプは今のところ報告はありません。

 尿崩症の犬は常に薄い尿を作るため、酷い喉の渇きを覚え多飲多尿の症状を示します。治療としては自分で出せない抗利尿ホルモンを外側から補ってあげる形になります。そのままにしておくと水が足りなくなってしまった場合に重度の脱水を起こしてしまいます。多飲多尿自体は他の病気の症状としてよく見られます。水を飲む量が多いかなと思ったら、どれくらい飲んでいるかのチェックと尿の検査をお勧めします。

S.A