南が丘動物通信

小さな白い犬症候群 16年09月18日

振戦とは体の一部が規則的に振動する動きです。頭部の企図振戦は通常、小脳疾患に関連しており、動物が動作を起こそうとするような場合、例えば食べる、飲む、嗅ぐといった目的のはっきりした動作をしようとして頭部が目標に近づいたときに著しく悪くなります。動作振戦は動作中はずっと起こり、休んでいるときは起こりません。

このような症状が急性に起こった場合、まず毒物を原因と考えます。推理小説などでも出てくる植物毒であるストリキニーネ(マチンの種子などに含まれる)、メトアルデヒド、塩化炭化水素、有機リン酸類などです。ほかに、低血糖や低カルシウム血症、高アンモニウム血症などの代謝性障害でも起こります。

代謝性または毒物が原因でない全身的に発生する頭部と体幹の振戦は5か月齢~3歳の若いの小型犬種で急性に発症することがあります。当初はマルチーズ、ウエストハイランド、ホワイト・テリアなどの白い犬でのみ確認されていたため「小さな白い犬症候群」と呼ばれていましたが、現在ではどの毛色の犬でも起こることが分かっています。

「ホワイト・ドッグ・シェイカー・シンドローム」、「特発性ステロイド反応性振戦症候群」や「特発性小脳炎」とも呼ばれます。

症状は、細かい振戦が13日の間に進行し、興奮・緊張時に悪化し睡眠時には減弱します。血液検査では明らかな異常はなく、通常は神経反応も正常です。脳脊髄液の検査では軽度のリンパ球増加及び蛋白濃度上昇が見られることがあります。組織学的検査では軽度な非化膿性脳炎が認められます。治療しなくても13か月で症状が軽快する犬もいますが、生涯持続する場合もあります。

早期治療にはジアゼパムとコルチコステロイドを投与し、通常45日で症状は改善します。投薬は45か月かけて減らしていき、症状が出ない量にまで減らしていきます。少数の犬では数か月~数年後に再発し、生涯にわたり低用量での投薬治療が必要な場合もあります。

先日、5か月齢のマルチーズさんが止まらない震えを主訴に来院されました。血液検査では異常はなく、家で寝ているときは震えはマシだが病院に来ると震えが止まらない、人が近づくと激しく震えるというまさに典型的な症状でした。あまり多い病気ではありませんが、若い犬に起こる病気なのでこういう病気もあると、頭の片隅に置いておいてください。

M.M.